レクサスのことが知りたければこの本
レクサスのことが知りたくて何冊か読んでみました.その中で本書は,アメリカでのレクサスのサクセスストーリを詳細に描いたものです.
日本ではトヨタの高級車はそれなりに高級車として認知されていますが,北米ではほとんどネームバリューがありませんでした.そのような中でトヨタがどのようにレクサスブランドを構築していったかということには非常に興味があります.さすがのトヨタも,新しい高級車ブランドを立ち上げるのには大変な苦労があったようです.しかしながら,緻密な戦略とアメリカの販売会社との連携で成功に導いたというのはやはりトヨタの底力でしょう.
著者は「ビジネスウィーク」の編集者ですが,文章が非常にうまい.ドラマチックな展開でドキュメンタリーながら思わず引き込まれてしまいます.翻訳のうまさも見逃せません.綿密な取材に基づいて書かれており,非常に読み応えがあります.
ファクトを積み上げて冷静に成功を読み解く
レクサス本は、ほかにも出版されていますが、 外人さんの冷静な観点で書かれたのがいいんじゃないかな、 なんて思って本書を読んでみました。はじめに思っていた以上の期待以上の内容で、読んでよかった です。お手盛りな内容はいっさい排除し、世界情勢をも含んだ 多様な観点からレクサスの奇跡、軌跡を丁寧に描いている。 表面的な解釈でなく、膨大な資料とインタビューを丹念に 分析、収集し、日本の歴史にまでさかのぼり、政治、経済、 また、世界の高級車市場、果ては、米国消費者ムーブメント まで、広範囲にわたる、しかし、表層的ではない、緻密な事実 の積み重ねで、レクサスの成功の軌跡をたどっています。 泣けるのは、鈴木一郎氏以下、トヨタの技術者の決して 妥協を許さない、世界最高のクルマを創る、その執念の結晶 であったこと。さらに、米国TSMのスタッフの活躍、困難、それを 乗り越えるさまも、視点に偏りなく、公平に、冷静に、大局的 に描き出しています。 著者の努力に脱帽するとともに、翻訳であることを忘れてしまうほど の訳者の力量にも敬意を表したい、そんな感じをもった 良質で骨太な一冊です。
北米での凄さは判ったけど
今年の8月末に日本でも導入されるLEXUSブランドの北米でのサクセスストーリーが語られています。 ドイツ車に占められていた高級車市場において、LS400(日本ではセルシオ)を始めとした高品質な製品と顧客満足度の高いサービス、そして在庫を最小限にすることによってディーラーに負担をかけないことを徹底することで、北米の高級車市場で成功していく様は読んでいて小気味よく感じました。 一方で、日本への導入は、今まで日本にはなかった高級車販売、カスタマーサービスを持ち込むといわれています。 品質では定評のあるTOYOTAが、何故TOYOTAブランドではなくLEXUSブランドを持ち込もうとしたのか?製品そのものだけではなく高級車向けの販路、サービスを持ち込もうとしたのか?といった日本市場での戦略が語られていないことは残念に感じました(そのことを知りたいと思っていたので…)。 全体は読みやすい構成になっています。日本人としても誇らしく思いながら読み進めることが出来ます。 LEXUSの成り立ちに興味のある人にはお薦めだと思います。
レクサスユーザーの証言
小生は1996年から1999年の間、ニューヨークに駐在し、その際、LS400(Coachバージョン)のユーザーでした。従って、大変興味深くこの本を読みました。 もちろん日本人ですからレクサスがトヨタの車であることは承知していましたが、私の直感ではほとんどのアメリカ人はレクサスがトヨタの車であるとは認識していなかったのではないかと思います。滞在中、定期点検、バックミラーの破損、リコールなどで近くのディーラーに車を持ち込むことが何回かありましたが、そこでの応対は本書に書いてある通りで、とにかくサービスがしっかりしているという印象でした。ディーラーにはもちろん日本人の従業員などはいませんし、まったくアメリカの会社で日本を意識させる要素などありません。しかし本書を読むとトヨタのポリシーが隅々まで行き届いていたなと、いまさらながらトヨタのマネジメントに関心してしまいます。もともと住んでいたエリアが全米でも有数の富裕層が住んでいるコネチカット州のグリニッチという街で、客筋も最高の部類のエリアだと思いますが、朝、息子を中学校に送ると、「親父の車を誉められた」といって息子が自慢をしていました。富裕層にふさわしい存在感、ステータスをレクサスは持っていたことが、表立って「日本」を強調していない分、よけいに日本人として誇らしく感じていたものです。(私自身は富裕層とはかけ離れた存在でした、念のため) いよいよ日本でも「レクサス」ブランドがスターとするとのことですが、富裕層を対象としたマーケティングの先行事例として注目したいと思います。
世界に冠たるレクサスブランドの本質を知る本
今年8月から日本にも導入される「レクサス」ブランド。その立ち上げから現在の成功までの軌跡を克明に追ったのが本書です。 ビジネスウィーク誌記者の著作だけあって、ノンフィクションとしての完成度は高い書です。レクサスがなぜアメリカでこれほどの成功 を収めることができたのか、がアメリカ人の視点から客観的に語られています。ただ、訳本だけに少々訳が読みにくい感はありました。 先行するドイツ高級車ブランドに対し、レクサスブランドを高める為の「完全への飽くなき追求」には本当に頭が下がります。「プレミ アム(高級)」とは、詰まるところ価格以上の価値の追求の結果であることに納得します。 日本が世界市場で弱かったプレミアムブランドの構築に希望が持てる内容に、日本人として誇りを感じる一冊でした。
東洋経済新報社
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